アレルギー性鼻炎(花粉症をふくむ)
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを特徴とする鼻粘膜のⅠ型アレルギー疾患です。
花粉が原因となるアレルギー性鼻炎が花粉症であり、花粉症とアレルギー性鼻炎は別々の病気ではありません。ただ、花粉症では季節性・地域性があり、アレルギー性結膜炎を起こしやすい傾向にあります。
日本ではスギ花粉によるアレルギー性鼻炎があまりにも多いので、花粉症というと、春のスギ花粉症を指す傾向にありますが、初夏にはイネ科の、秋にはキク科の花粉症もあります。
原因
アレルギー反応を起こす物質を抗原(アレルゲン)と呼び、下記のようなものがあります。
- 通年性
- 室内塵(ハウスダスト)・室内ダニ・カビ・ペットの上皮など
- 季節性
- 花粉(スギ・ヒノキ・マツ・ハンノキなどの樹木、
カモガヤ・オオアワガエリなどのイネ科、ブタクサ・ヨモギなどのキク科の草花)
血液検査でアレルギーの原因となる抗原を調べることができます。
症状
くしゃみ・鼻水・鼻づまりのほか、
鼻のかゆみ・鼻血、眼のかゆみ・流涙、のどのかゆみ・咳 などを伴うこともあります。
2024年スギ花粉飛散予測
飛散開始時期
2024年のスギ花粉飛散開始時期は2月上旬と、例年並みか例年より早くなる見込みです。
スギ花粉は、わずかな量が飛散開始時期より前に飛び始めるため、花粉症の方は、1月のうちから対策を始めるとよいでしょう。
飛散量
今年の飛散量は、大量飛散だった前シーズン(2023年)と比べるとやや少ない見通しですが、例年(過去10年の平均)に比べると、やや多い飛散量と予測されています。
花粉症は花粉飛散量がある一定のレベルまで上昇すると発症します。万全な対策を行って花粉シーズンをお過ごしください。
アレルギー性鼻炎の治療
唯一のアレルギー治療法である免疫療法以外は、お薬はもちろん手術を含めて、症状を抑えるのが治療の目的です。(対症療法)
症状はないか、あっても日常生活に支障がない程度に軽くなることが目標となります。
アレルゲンの回避
治療とは言えないかもしれませんが、基本的にアレルギーの原因となる物質を吸い込まなければ症状は出ませんので、できるだけアレルゲンを除去したり、避けることが重要です。
また、将来的に症状の悪化を防ぐ目的からも、アレルゲンの回避は重要と考えられます。
お部屋の掃除のほかマスク・空気清浄機の活用も有効です。
ただ、完全に回避することは不可能ですので、現実的にはお薬による治療が広く行われています。
お薬
症状のタイプ・程度により、一人ひとりにあったお薬を処方します。
原因によってお薬が変わることはありません。
くしゃみ・鼻水が多い、鼻づまりが強い、症状が強くなる時間帯などを考慮して、飲み薬・点鼻薬などを使って、症状を抑えます。
また、眠気・口の渇きなどのお薬の副作用も個人差がありますので考慮します。
お薬の飲み方
花粉症では、症状が出る前あるいは軽いうちから治療を開始した方が症状が抑えられるとされ、症状が安定していても、シーズン中は継続していただくことがよいか思います。
一方、ホコリやダニなど通年性のアレルギーの場合には、日常生活に支障がないようであればお薬は飲まず、こまめなお掃除などでアレルゲンの除去につとめていただくことも現実的かと思います。
減感作療法
現在、アレルギーが治る可能性のある唯一の治療です。
アレルギーの原因となる物質をうすめた液を、徐々に量・濃度をあげて身体に取り込むことにより、アレルギーを起こしにくい体質にします。
スギ花粉に対する舌下免疫療法以外の減感作療法をご希望の方は、実施している医療機関をご紹介いたしますので、お気軽にご相談ください。
スギ花粉に対する舌下免疫療法
2014年10月から、スギ花粉に対する舌下免疫療法の保険適用がはじまり、当院でも治療を行っています。
花粉の飛散期を避けて開始しますので、スギ花粉が飛ぶ可能性のある時期は治療を始めることができません。ご了承ください。
舌下免疫療法とは、スギ花粉エキスを前歯と舌の間に滴下・保持していただく方法です。
花粉症の時期以外も、毎日つづける必要はありますが、ご自宅でご自分で行えます。
詳細についてはご来院のうえ、ご相談ください。
手術
レーザーや電気・薬品で鼻の粘膜を焼いたり、粘膜を切除することで、鼻づまりを改善させるとともに、アレルギ―を起こさない粘膜に変化することを期待します。
とくに、鼻中隔弯曲・ポリープ・強度の粘膜腫脹があり、鼻づまりが強い場合におすすめいたします。
効果の程度・持続については個人差もあり、一定ではありません。
当院では行っておりませんので、ご希望の方には、実施している医療機関をご紹介いたします。